決意のきっかけ③

 よくからかわれるのだが、大坪家の人たちは殆どが八幡の中坪周辺に居を構えている。

 私の祖父は子供たちが近くで暮らしてくれることを望み、私の父の3人の兄弟は隣同士に居を構えた。子供ながらに祖母からそんな話を良く聞かされていたが、その頃はこんな田舎じゃなくて視野を広げるためにも東京や海外でも働いてみたい。おじいちゃんはどうしてそんな事を望んだんだろう?って思っていた。


 自分も50を超え、たぶんあの時のおじいちゃんと同じくらいの年齢になったのだと思うが、なんか今はおじいちゃんの気持ちが良く分かる。自分も結局実家の隣に居を構え、両親のすぐ横で暮らしている。


 子供たちにはやりたい事をやってほしいし、広い視野も持ってほしい。どんどん挑戦してほしいって思うのと同じくらい、ずっと一緒に暮らしていたいなって思う自分がいる。

 結婚して奥さんと2人で始めた我が家は今年で27年目。この春からまた二人の生活になる。ずっと一緒にいた子供たちはそれぞれ新しい家庭を築き始め、自立していくことになる。嬉しいことだが、寂しいって思うのは年を取ったからなのかな。


 少子高齢化で田舎は過疎化している。人が減り続けると社会インフラの維持すら困難になりますます生活は不便になっていく。

 「郡上には仕事がないから帰ってこれない」良く聞く話だけど本当にそうなのかな。介護業界をはじめ市内はどこも人手不足で困っている。

 高速道路も整備され、ICTの活用で働き方も変わってきている。子育てしやすく暮らしやすい郡上になれば、子供たちも郡上で暮らすっていう選択肢も得ることになるんじゃないだろうか。都会から移住してくる人がいるくらい郡上は魅力のある町なんだし。

 世界に羽ばたいて活躍する人。大都会で日本経済を支える人。生まれ育った町で働き老いていく人。色んな選択肢があっていい。だからこそ、郡上を出て学びを深めてまた郡上に帰ってくる。そんな選択も出来るような町になるといいなって思う。


 そのために何が出来るのかな。ちゃんと真剣に考えてみようと思う。出来んかもしれないけど何もしなかったら、行動にうつさなかったらなんにも変わらん。ごまめの歯ぎしりのように汗かいて、考えて、行動にうつしていこうって思う。


 


 

大坪 隆成

ごまめの足跡